[ テーマ: 病気 ]
2015年1月11日08:42:00
脾臓はお腹の左上の胃と腎臓の近くにあります。
働きは主に免疫系の細胞を作ったり、
血液をきれいにしたりする働きがあるのですが、
不思議なもので、
無くても生きていくうえで大きな支障はありません。
犬では比較的しこりができやすい臓器で、
破れることで、腹腔内出血の原因となります。
血液検査で異常を評価する事ができなくて、
超音波検査が必要となります。
一昨日午前最後の患者さんは、
元気に散歩している途中に、
突然元気が無くなったという事で来院。
確かにいつもの元気がありませんが、
もともと大人しい子なのであまり変化が分かりません。
体温は平熱。
唇の粘膜の血色が良くないのですぐに血液検査をしました。
この段階ではバベシア?と疑いつつ、おしっこの様子や、
ここ数日食べたものなど色々と問診を行いますが、
貧血も無く、これといった異常が見つかりません。
とりあえずのお薬は使用せず、
夕方まで様子を見てもらうことにして
お会計をしながら、
午前最後だったのでたまたま受付でお話をしました。
病院から帰るワンちゃんの様子を見て、
これはやっぱりおかしい・・と思って、
念のためお腹の検査をさせてもらうと、
脾臓にしこりがあり、お腹の中に液体がたまっていました。
すぐに腹腔内出血と判断して、
開腹手術をし、脾臓摘出をしました。
以前に一度同じような症状になったことがあるとのことで、
恐らくその時にも軽度な出血をしていて、
大網が癒着して塞いでくれていました。
もう少しで、間違った判断をして、最悪手遅れになるところでした。
去年だけで同じようなケースが2件ありました。
1件は後ろ脚がフラフラするという事で他院を受診して、
椎間板ヘルニアと診断されたケース。
もう1件は、心臓病と診断されたケース。
どちらも脾臓のしこりが原因でした。
こういうケースがあるため
必要な検査をしなければいけないのですが、
検査をたくさんすると費用が高くなるし、
ひょっとしたらという怖さもあるため
いつも判断に悩みながら診察しています。
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