[ テーマ: 病気 ]
2012年11月11日15:58:06
数日前ぐったりとした生後3カ月の小さなチワワが来院。
お庭の石を食べたので、塩を飲ませて吐かせようとしたところ、体調が悪くなったとのことでした。
呼吸は荒く、意識も混濁、体温も低下し非常に危険な状態。
血液検査をするとナトリウムの値が180を超えていてます。(正常は140-150)
血液中のナトリウム濃度が急速に上昇すると、浸透圧の関係により細胞内の水分が引っ張られます。
これが脳細胞で起こると、脳細胞が委縮し、中枢神経に障害が起こります。
また急速に血液中のナトリウムの値を下げても問題が起こります。
このチワワでは循環血液量の急激な増加により肺水腫も併発しており、検査をするために少し動かすだけでチアノーゼになる状態でした。
ナトリウムを下げるためには輸液が必要ですが、肺水腫の改善を優先しつつ、他にも腎機能、血糖値、カリウムの値などにも注意が必要で、この数日は神経を使い疲れました。
今朝の検査で、体の血液状態はほぼ正常化し、呼吸状態も安定、自分からご飯も食べれるようになったのでとりあえず一安心。
結局お腹のⅩ線検査では石は見つからず、飼い主様の誤解でした。
当院でも異物を食べた場合のご家庭で可能な応急処置として食塩を飲ませることを説明することがありますが、飼い主様の判断で大量に飲ませたり、吐かないからと何度も食塩を飲ませたりすることは非常に危険ですのでご注意ください。
5kg前後の小型犬でティースプーン1/2、10kgの中型犬で1杯を目安に与えてもらいます。(ちなみに食塩の致死量は4g/kgと言われています)