[ テーマ: 病院 ]
2009年3月15日08:29:00
毎年この時期に『狂犬病予防接種』についての新聞の折り込みチラシが入ります。
われわれが協力させてもらっている狂犬病集合注射とは異なるもので、主に岡山県にある動物病院のグループが主催しているものです。
狂犬病予防接種が1000円というものです。
この不況の時代治療や予防はなるべく安く・短時間で済ませたいという飼主様のお気持ちはすごく良く分かりますが、僕なりの考えの中で問題点と思うことを書きたいと思います。
①現在ホームページやダイレクトメール以外で新聞広告や電話帳などに価格を記載して客引き行為を行うことは禁止されています。
②狂犬病の証明書は発行されますが、飼主様自身が保健所に届けをしなければ公的に接種したことにならず、その際別途費用が掛かります。
③希望者に8種混合ワクチンを同時接種するとありますが、狂犬病の使用説明書でも他のワクチンとの同時接種は禁止されています(ワクチンの種類によって1週間から1ヶ月は接種してはいけません)。
④すぐに移動してしまう為、もし接種後しばらくしてアレルギー反応が起こっても十分な対応が受けれない可能性があること。
⑤フィラリア予防薬は事前に感染の有無を検査してから投与したほうが良いこと。
などがあると思います。
ただしメリットとしては、今まで予防についてご存じなかった飼主様がこのチラシで予防のことを知り、予防を行うきっかけになることは良いことだと思います。
動物にとっては予防してもらえないよりは、してもらえたほうが良いですよね。
当院を含め現在の動物病院の多くは、できるだけ多くの病気に対応できるよう設備を充実させようとしています。
しかし、検査・治療技術が向上するにつれ、当然設備に掛かる費用も大きくなっています。
そこでこのような行為が横行してしまい、多くの動物病院が価格競争のような形をとってしまうと、長い眼で見たときに飼主様や動物たちに不利益になるのではないかと思います。
また混合ワクチンやフィラリア予防などは予防行為自体とは別の目的として、動物の体をチェックする良い機会となります。
定期的な予防の機会に、動物病院で日頃の様子などについていろいろと相談していただくことが動物たちの健康管理にとって大きな効果があるものと考えています。