[ テーマ: 病気 ]
2009年2月11日20:58:17
今朝の四国新聞に興味深い記事がありました。
人では不慮の事故死のうち窒息死が交通事故死よりも多く、窒息死のうち半数近くが食品によるものだそうです。
昨年はこんにゃくゼリーが問題にもなりましたが、窒息の原因食品の上位は、もち22%、米飯18%、パン14%の順です。
こんにゃくゼリーの問題については個人的な意見としては、過剰に批判しすぎだと思いました。それほどあの企業が悪いことをしたとは思えず、亡くなった方やその親族の方はお気の毒ですが、その商品に関わる方たちにも生活があるので、あれほどの社会的制裁が必要だったのでしょうか?と思います。
それはさておき、動物にも窒息はあります。
僕が経験した物は、焼き芋、大きなガムなどで亡くなった患者さんがいますし、チワワなどのトイ犬種ではフィラリアの予防薬を喉に詰まらせることもあるので、飼い主様には注意してもらうようお話します。
昨年はビニール袋で窒息してしまった犬もいて本当につらかったです。
今日も犬が細長いガムを飲み込んだ後に少し苦しそうにするというお電話がありました。
症状が一時的だったことと、そのあと水を飲んだりできているとのことなので、しばらく様子を見てもらいました。なんともなければ良いですが。
ガムはまさに『百害あって一利なし』だと僕は思います。
なるべく与えないようにしてください。
[ テーマ: 病気 ]
2009年1月30日23:35:00
肥満細胞はヒスタミンなどの物質を放出することで、炎症反応や免疫反応に関連する働きのある細胞です。けっして肥満の動物に多い細胞ではありません。
この細胞が腫瘍性増殖を起こしたものが肥満細胞腫で、犬ではリンパ腫とともに、発生の多い悪性腫瘍の1つです。
できものに針を刺して細胞を調べる検査(針生検:FNA)で、特徴的な細胞が見られる為、比較的院内での診断が可能な腫瘍であることが大きな特徴です。
一般的に~細胞腫とつくものは良性の腫瘍が多いのですが、肥満細胞腫はほとんどが悪性です。
治療選択肢も外科的切除が可能であれば広範囲の切除、完全切除困難な場合は化学療法や放射線療法になります。
先日も歯石除去の時に、飼主様が『そう言えばこの辺りにしこりが...』と思い出してくれた為、検査をすると肥満細胞腫が強く疑われ、切除できました。
一度目の手術での病理検査では、まず大丈夫だががん細胞が残っている可能性もあるとの答えだった為、再度手術をさせていただき、筋層を含め広範囲の切除をすることで完全切除が出来ました。
数ミリしかないおできのようなものでも肥満細胞腫であることも良くありますので、気になるしこりがあって、針生検などをして調べていないものがあれば、一度相談してください。
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2009年1月24日22:20:01
今日は寒い一日でしたね。
今日は先程まで手術があったので少し疲れました。
上の子が眠い眼をこすりながら、大人しく手術室の外で座って待っていてくれました。
手術の片付けが終わって、家に連れてあがるとあっという間に寝てしまいました。
ところで、以前もこのブログで書きましたが、寒くなると猫の下部尿路疾患(FLUTD)が増えます。
今月に入って特に結石や尿道栓子によって尿路閉塞を起こすオス猫が急増しています。
麻酔下で尿道カテーテルを通して閉塞を解除する必要がありますが、すぐに通過するものもあれば、かなり苦労する場合もあります。
多くの場合、重度の急性腎後性尿毒症の状態にあるため、数日静脈内輸液を続けながら、カテーテルを通じて排尿させます。
ほとんどの猫の初期症状は頻尿です。何度もトイレに入っているのに、ほとんど尿が確認できないことが多いようです。その場合は、尿が出ないのではなく、膀胱に尿が溜まらない状態になっていると思います。
この段階での膀胱炎などの治療をすることで、尿路閉塞を防げる可能性が高くなりますし、再発を繰り返す場合は、食事管理が大切になります。
食餌の質が良くなったおかげか、手術が必要になるケースが昔に比べると、激減しているようです。
オシッコのことで気になる猫を飼われている飼主様は早めに相談に来て上げてください。
[ テーマ: 病気 ]
2009年1月13日22:00:12
この細長い虫はニキビダニ(毛包虫)といいます。
ヒゼンダニ(疥癬)などとは異なり、健康でも皮膚に少数は寄生していて、無症状ですが、何かの原因で過剰に増殖すると発症します。
成長期の動物で、症状が局所的であれば、無治療で改善するものも多いのですが、最近は若い場合でも全身性にひどくなっている患者さんを良く診ます。
今日も生後6ヶ月で全身的な症状が出ているポメラニアンが受診しました。
皮膚検査では、皮膚掻爬検査(皮膚を少し削る検査)をしないと見落としてしまうこともあります。
安易にステロイドの治療をすることで、更に悪化させてしまうこともある為注意しなければいけません。
やっかい事にこのダニに対する完全な治療法がまだ確立されていません。
以前に比べると治療選択肢も増えましたが、特に高齢犬での治療は難しいです。
ハムスターでもよく見られますが、治療すべきかどうかも含め難しいです。
検査をして病気の原因が分かると少し安心するものですが、このダニを見つけたときはちょっとブルーにさせられる嫌なダニです。
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2009年1月9日21:13:28
今日去勢手術を行った猫は眼の見えない猫でした。
飼主様が保護して受診してくれたときには既に両目とも潰れてしまっていて眼球が無くなっていました。(眼が2次的な変化で小さくなることを眼球ろうといいます)
生後すぐのウイルス感染が原因だと思います。
幸いエイズや白血病のウイルスには感染していませんでした。
眼が見えなくても、保護してくれた飼主様に大切にしてもらっていて、人懐っこく良い子に育っています。
外の世界では決して生きていくことの出来なかった子なので、本当に大切にしてくれて嬉しいことです。