[ テーマ: 病気 ]
2009年4月8日23:56:00
歌手の絢香さんが『バセドー病』であることを公表されました。
先日結婚のニュースがあったばかりなので驚きました。
しばらく休業するとのことですが、また一日も早く元気に歌う姿で復帰して欲しいですね。
『バセドー病』は喉の近くにある甲状腺というところから甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気です。獣医療では『甲状腺機能亢進症』と呼ばれます。
『甲状腺機能亢進症』は高齢の猫に多い病気ですが、犬の場合は逆に『甲状腺機能低下症』が多いです。
『甲状腺機能亢進症』になると代謝が亢進することによって、一般的に食欲はあるのにどんどん痩せて、筋力も低下します。またお水を良く飲み、尿量が増えます。なかには眼がギラギラして、活動性が亢進することもあります。
高齢の猫の場合、お水を飲む量や尿量の増加は他にも腎疾患や糖尿病などの病気の初期症状として非常に重要です。
心当たりのある飼主様は、現在元気でごはんを良く食べていても一度ご相談ください。
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2009年4月6日22:00:57
今日も暖かく気持ちのいい一日でしたね。
今年もそろそろフィラリアの予防シーズンが近づいています。
そもそもフィラリアの予防期間がどのようにして決まっているのか不思議に思いませんか?
現在はHDU(Heartworm Development heart Unit)という概念を用いて各都市の感染期間を算出しています。
HDUとはフィラリアを媒介する蚊の体内でフィラリアの幼虫が発育するのに必要な積算温度の単位です。 くわしくはこちらを参照ください。
去年の高松の感染開始日が5月20日、感染終了日が11月8日でした。
フィラリア予防期間は感染開始後1ヶ月から感染終了後1ヶ月ですから、当院では5月から11月までの月末に飲ませていただいています。
ただこの数値はあくまでひとつの指標ですから、4月が例年以上に気温が高い場合は、お住まいの環境や飼育環境によっては心配な方もいらっしゃると思いますので、ご心配の方は4月末から与えてください。
フィラリアのお薬は長く飲ませても体に害があるわけではありません。
ちなみに沖縄県は1年中予防が必要です。
4月に気温が例年通りの場合は、5月末までには検査を受けていただき、お薬を持って帰ってください。
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2009年3月21日21:37:44
『低血糖症』とは糖尿病による高血糖とは逆の状態で、血糖値が異常に低下し、動けなくなったり、痙攣発作を起こしてしまう危険な状態です。
原因としては糖尿病の治療のためのインスリン接種によるものや膵臓のβ細胞の癌などがありますが、日常診察で良く経験するのは『トイ種低血糖症』と呼ばれるものです。
若齢のトイ犬種は肝臓の発達が遅く(車でたとえるとガソリンタンクが非常に小さい状態)、そのためごはんを食べなかったり、下痢や吐き気などの消化器症状があれば(タンクからガソリンがもれている状態)、他の犬種よりも低血糖に陥りやすいです。
現在人気犬種のチワワ、トイプードルなどは、とくに仔犬の頃に『低血糖』になりやすいので注意が必要です。
今日も昨日ペットショップさんで購入したばかりのチワワの子犬が、家に来てからほとんどごはんを食べず元気が無いとのことで受診されました。
血液検査をすると血糖値が15(正常値:75-150)、さすがにここまで低下すると危険な状態です。
体重が360gしかありませんが、血管内に糖分を投与すると、動きが少し良くなり、今は少しずつ自分でもごはんを食べれるようになりました。
とりあえず一安心ですが、明朝までは注意が必要です。
飼主様も家に来てからずっと元気の無い状態しか見れていなかったので、面会時にしっぽを振っている様子を見て喜んでいただけてよかったです。
特にこれからトイ犬種を飼おうと思っている飼主様は、お店での食欲や便の状態などをしっかり確認してあげてください。
また下痢や吐き気があるときはあまり様子を見すぎないようにご注意ください。
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2009年3月18日22:00:00
先日手術で摘出した膀胱結石です。
見た目はシュウ酸結石のようでしたが、成分を調べるとストルバイト(リン酸アンモマグネシウム)でした。
今後は食餌管理で再発予防をしていく必要があります。
犬の場合この大きさの結石ができてしまうことは珍しくはないのですが、経験的に猫では珍しい気がします。
飼い主様によるとかなり以前から時々尿に血が混ざる時があったようです。
ストレスかなぁと思っていたそうです。
診察中飼い主様から『ストレスが原因でしょうか?』と聞かれることが良くあります。
引っ越しや家族構成の変化、ホテルに預けていた後の体調不良などはストレスが原因の可能性が強く疑われますが、多くの場合は簡単に『ストレスが原因でしょう』とは言えないものです。
気になる症状が繰り返される場合はあまり様子を見すぎないようご注意ください。
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2009年3月17日21:10:00
今日は本当に暖かい一日でしたね。一気に春を感じます。
今日は4月から新しいスタッフとして勤務してくれる木村さんとスタッフ皆でランチに出掛けました。
『珈琲哲学』さんのオムライス。
かなりおいしかったです。
はすい動物病院では今のところ『飲みニケーション』がないので、皆との食事会はもっぱら手術が無い日のランチです。
新しい仲間ができることは本当に嬉しいことです。はすい動物病院を選んでもらえたこともありがたいことです。
先日も飼主様からスタッフのことを誉めて頂けたことがありました。嬉しいことです。
4月からは新しいメンバーも加わり、より一層皆様に喜んでもらえる動物病院作りを目指していきたいと思いますのでよろしくお願いします。
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2009年3月13日21:21:00
これは先日入院していた猫から出てきた寄生虫で『マンソン裂頭条虫』といいます。
長いものだと長さ1メートル以上にもなります。
猫の寄生虫はノミを食べることでうつる瓜実条虫が最も一般的で、お尻の周りやトイレなどに白ゴマのようなものとして見つかるケースが多いです。
他には回虫なども一般的ですが、これらの寄生虫は駆虫薬を飲ませることで簡単に駆虫可能です。
最近では滴下型の駆虫薬が便利で、大きな駆虫薬を飲ませなくても、ノミ予防薬と同じ要領で簡単に駆虫できるようになりました。
しかし写真のマンソン裂頭条虫を駆虫するには高用量のお薬が必要となる為、一般的には注射薬で駆虫します。
高用量の為、注射後少し体調が悪くなる猫もいます。
このマンソン裂頭条虫はカエルなどからうつりますので、外に出かけていく猫にときどき認められます。
よくおでかけをする猫で、きし麺のような虫が便に出ていたらすぐにご相談ください。
また定期的な糞便検査や駆虫薬の投与もおすすめしています。
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2009年3月6日22:41:40
今日は停留睾丸の手術がありました。
停留睾丸とは雄の精巣がお腹の中や股の皮下に残ったままの状態にあることです。
比較的小型犬種に多い気がします。
今日のダックスは片側の精巣がお腹の中に残っていましたので、手術で摘出しました。
停留睾丸の原因には遺伝が関与しているのでは?と考えられているため、子供をとることはお勧めできません。
また、正常な精巣(陰嚢内にある精巣)に比べて将来精巣腫瘍になる可能性が10倍以上高いとの報告があるため、当院では摘出手術をおススメしています。
この病気は飼い主様とペットショップさんとの間でトラブルになることも多いようです。
先日もうちで健康診断をして停留睾丸を指摘された飼い主様から連絡があったとペットショップさんから電話がありました。
病院としては事実を飼い主様にお伝えするしかできないのですが、実際犬が小さすぎて分かりにくいこともあります。
ただ専門的な知識や器具を使わなくてもある程度確認可能な問題:例えば不正咬合、出べそ(臍ヘルニア)、鼠径ヘルニアなどはきちんと確認してあげて欲しいものです。
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2009年2月28日21:08:26
昨晩はセミナーに出席しました。テーマは『てんかん』。
『てんかん』とは慢性の脳疾患で、神経細胞の過剰な興奮によって何度も発作が起こることです。
『てんかん』は脳に異常が無く遺伝的な原因による『特発性てんかん』と、中枢神経系の障害が原因でおこる『症候性てんかん』に分かれますが、犬では約6割が特発性で、猫では逆に症候性が多いようです。
今回のセミナーでは普段あまり見ることの無いてんかん発作以外の発作の様子を動画で見ることができたり、大学病院での実際の診察の流れや検査、治療法について、また今後期待できる新しい治療薬など勉強することができて有意義な時間でした。
犬に多い特発性てんかんの場合は、発作が起こっている短時間の間以外は全く問題が無い為、長期間治療をせずに様子を診ている場合もあります。
数ヶ月に一度程度の発作で軽度の場合は治療をせずに様子を診ますが、3ヶ月に2回以上の発作がある場合は治療を開始し、発作を軽減することで、脳へのダメージをできるだけ少なくしていく必要があります。
心当たりのある飼主様は一度ご相談ください。
ところで、今朝は寒かったですね。
高松には珍しく朝霧が出ていました。
写真を撮ったときには大分霧も晴れて来てあまり良く分からないですが....
霧は水蒸気を含んだ大気の温度が下がることで、水蒸気が小さな水粒となって空気に浮かんだ状態だそうです。
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2009年2月24日21:15:18
『前庭(ぜんてい)』という言葉は飼主様には馴染みがないと思いますが、耳の奥に位置し、眼や頭の位置を安定させたり、平衡感覚を維持する働きのある部分です。
この部分が障害をうけると頭が斜めに傾いたり(斜頚)、眼球が左右にゆれたり(眼振)します。
ひどい場合は突然動物が立ち上がれなくなって、回転し始めたり、何度も嘔吐するため、飼主様は非常に驚かれます。
犬は老犬に多く認められ、脳腫瘍などの中枢性のものでなければ特発性で、数日から1週間かけて徐々に改善することが多いです。
なかには耳が悪くなることで起こる場合もあります。
正確な病態は不明なことも多いのですが、CTやMRIなどの検査が普及することで、今後徐々に解明されていくと思います。
今週は老犬と若齢猫の患者さんでこの症状が見られました。
猫は犬に比べると少なく、比較的若い年齢で見られるようです。
嘔吐、斜頚を主訴に来院されましたが、良く見ると眼振も認められます。
斜頚はまだ少し残っていますが、幸い1日で眼振は治まり、吐き気もなくなりました。
老犬も2日目にはいつもの調子に戻って良かったです。
もしお家の動物がこのような症状になったときは、眼の動きに注意してください。
もし眼球が上下にゆれている場合は、脳疾患の可能性が高いので要注意です。
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2009年2月13日20:44:17
子宮蓄膿症は犬において最も一般的な生殖器疾患です。
度重なるホルモンの刺激により、子宮内膜の過形成が起こり、更に大腸菌などが感染することによって発生すると考えられています。
今日手術をした犬は、先月末に少しおりものが出た後から少しずつ調子が悪くなり、お水は良く飲むということで受診されました。
この症状を聞くと、どの獣医師も子宮蓄膿症を疑いすぐに超音波検査を行います。
今回の症例は一般状態もそれ程悪くなかったので、静脈内点滴後すぐに外科的に摘出しました。
6kgほどの体重に対して、重さ620gもの子宮でした。
夜には少しフードも食べるようになり、経過も良好でよかったです。
明日には退院可能ですが、飼主様の都合により週明けまでお預かりです。
子宮蓄膿症は発症したときの犬の状態や治療までの時間によっては手遅れになることもありますし、手術後エンドトキシンショックに陥ることもあります。
まれに内科治療を希望される飼主様もいらっしゃいますが、当院では全くお勧めしていません。
出産の予定が無い犬の飼主様は、是非避妊手術を考えてあげて欲しいものです。