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2009年10月11日21:19:47
緑内障とは眼房水という眼球内の液体が過剰に溜まってしまうことで、眼球内の圧力(眼内圧)が高くなり、目の痛みや視力障害を起こす病気です。
症状は突然激しい目の痛みをともない、元気食欲の消失や目の異常(充血、白濁)が出る場合や、目の炎症などに続いて徐々に悪化するものもあります。
当院ではこのような眼圧計を用いて眼内圧を測定することで診断しています。
当院では柴犬やコッカースパニエルが圧倒的に多く、今日の患者さんも柴犬でした。
一般的に動物の緑内障は診断時すでに視力は消失していることが多く、治療の目的は眼内圧を低下させ、痛みをとってあげることと、反対側の目もいずれ発症してしまうことが多いため、その予防に努めます。
当院での治療は緊急時は浸透圧利尿剤の点滴を行った後に、眼房水の産生を抑えたり、排泄を促す目薬や内服薬を使用しますが、緑内障の目薬は高価なのが難点です。
どうしても痛みがコントロールできない場合は眼球摘出も行います。
近年獣医療においても眼科専門医の先生も増えているため、本当はそのような設備や知識、経験豊富な先生に診断・治療をお願いしたい病気ですが、現在の県内の状況では難しいので、眼科は少しずつ勉強していかなければいけない分野のひとつです。
今日はお祭りでした。
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2009年9月15日21:27:14
尿中にできた結晶や尿道栓子が尿道につまり排尿が出来なくなってしまう状態です。
対処が遅れると命にも関わる非常に危険な状態です。
一般的にはこれから寒くなるに連れ増えてくる病気ですが、今年は夏の間もチラホラ見かけました。
最近は、他の動物病院で治療を受けたけれども翌日から数日後にまた詰ってしまったという事で当院に受診されるケースが増えています。
処置や治療に対する考え方は動物病院によって様々で、一概にどれが良いとも言えませんが、 当院では必ず麻酔をかけてから膀胱にカテーテルを通して、溜まっている尿を出します。
その後、血液状態が正常に戻るまでは入院治療とし、カテーテルを抜いた後、自力で排尿が出来ていることを確認して退院となります。
退院後も食事管理が大切になります。
ただ問題なのは尿路閉塞を起こす猫の中には怒りん坊が多いということ。
今日午後一番の患者さん(猫)も昨日他院で処置を受けたのですが、また詰ってしまったとのことでした。
昨日無麻酔での処置を受けたせいか、血液検査をしようとしてもひどく怒るので、先に麻酔をかけさせてもらいました。
無事カテーテルも留置できたのですが、今夜からの入院管理がちょっと心配です...
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2009年9月2日22:04:15
猫のお腹のX線写真です。
お腹の中に白く棒状に映っているのは全て糞塊です。
恐ろしいほどの便秘症です。
『巨大結腸症』という病気は猫に多く、骨盤骨折による骨盤狭窄が原因になる場合もありますが、この猫のように正確な原因が分からない場合もあります。
最初にこの猫のお腹を触ったときはゾッとしました。
あまりのひどさに手術による糞塊の摘出も考えましたが、何とか麻酔下である程度の便を出すことが出来ました。
『巨大結腸症』に根本的な治療法はありません。
内科療法として便をゆるくさせるお薬を使用したり、定期的に浣腸をして便がたまらないようにしてあげます。
外科治療としては、結腸の部分切除をすることで永久的に便を軟化させることで排便を促す方法や、骨盤の骨を切除し骨盤腔を拡張させて便が出やすくさせる方法があります。
猫は犬よりも便秘症になりやすいですし、トイレに関しては非常にこだわりが強い動物です。
常にトイレは衛生的に管理をすることに加え、多頭飼育の場合は頭数プラス1個のトイレを用意することも勧められています。
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2009年8月9日17:09:34
今日は高松には珍しく朝から強い雨が降り続けていますね。
この数日気温・湿度とも高く、皮膚病の患者さんが急増中。
なかでもとくに多いのは、強い痒みをともなう急性湿性皮膚炎(ホットスポット)と呼ばれるもので、太ももの辺りに出来ることが非常に多いです。
ちょっと痒そうに舐めているなぁと様子を見ていると、一晩で真っ赤にただれてしまいます。
ひどい場合は短期間のステロイド、抗生物質の治療により、普通は長くても1週間くらいで良くなりますが、炎症がひどいとなかなか毛が生えてこない場合もあります。
ノミ等が原因になる場合もありますので、ノミの予防もしっかりとしてあげてくださいね!
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2009年7月29日22:04:00
少し怖い写真ですが、この老猫は突然右目が大きくなってきたということで来院。
顔を触られることをひどく嫌がります。
高齢の為、眼球やその周囲の腫瘍なども考慮し、まず麻酔をかけて検査です。
ほんとうはCT検査が最適な部位ですが、まずX線検査や眼球の超音波検査などで眼球自体には問題が無いことを確認。
口腔内を検査すると同側の最後臼歯が化膿していたので抜歯しました。
抜歯でドロドロっと膿が大量に出てくることを期待したのですが、それ程出てきませんし、眼球も引っ込みません。
諦めずに丁寧に洗浄していると眼球の奥の部分に到達し排膿できました。しかし、この時点では眼球は処置前と同じ状況。
麻酔前の血液検査でかなり腎臓の状態も悪いことが分かっていたのであまり無理をせず抗菌剤での治療にかけることにしました。
処置後4日目頃からようやく目が引っ込み始めて今朝はかわいい顔に戻りました。
眼球摘出にならずに済んで本当に良かったです。
動物の場合、歯からの感染によって鼻の辺りや眼の下の部分などに膿が溜まることは良くありますが、今回のように眼球の後ろに溜まってしまうことで眼球が突出してくるのは当院では2例目でした。(ちなみに1例目はダックスでした)
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2009年7月27日22:19:04
猫の糖尿病に多くみられる臨床徴候は多飲・多尿、体重減少ですが、なかには蹠行姿勢といって歩くときにかかとの部分まで地面につけるようになる場合があります。
この症状は糖尿病性神経障害によるもので、今入院してインスリンに対する反応をモニターしている猫の来院理由も後ろ足が少しふらつくことと、トイレ以外の所でも排尿をするというものでした。
猫の糖尿病は多くの場合1日2回のインスリンの注射と同時に高タンパク・低炭水化物の食事管理が重要となるため、飼い主様への負担も大きくなります。
しかし猫の糖尿病の中には食事療法の結果インスリンが必要なくなるケースもあるので、まずはあきらめずにがんばって管理していくことを飼い主様にお勧めしています。
ただ怒りんぼうの猫の場合は血糖値のモニターすら困難になるため、安全にインスリンを注射できないため治療も難しくなりますが、今入院している猫は性格も穏やかで糖尿病食もしっかり食べてくれるため経過も順調です。
中年以降の猫で元気食欲はあっても、昔に比べお水を良く飲むようになったり、痩せた気がする場合は糖尿病の他にも腎臓の病気や甲状腺の病気などの可能性もありますので、一度病院で健康診断を受けてみてください。
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2009年7月17日15:52:31
ネギ類(タマネギ、ネギ、ニラ、にんにくなど)を食べさせてはいけないことはすでにご存知の飼主様が多いと思います。
その為夕飯の準備時の時間などに病院への問い合わせも多いです。
何故ネギ類を食べさせてはいけないかというと、ネギに含まれる成分が血液中の赤血球膜の酸化的障害を引き起こし、結果とし赤血球が壊れ(溶血といいます)、溶血性貧血が起こります。
この中毒はたくさん食べたから問題というよりは、犬や猫のネギ類に対する感受性が問題となります。
その為ほとんどのケースは問題ないのですが、まれにほんの少量口にしただけでも症状が現れることもあります。摂取後はとくに尿の色が濃くなったり、赤くなったりしていないか注意してください。
溶血がおこると成分が尿中に排泄され、尿の色が濃くなります。
問い合わせに多いのがハンバーグやサンドイッチなどですが、お味噌汁や牛丼の汁、焼肉のたれなども成分が溶け出ているので危険ですから注意してください。
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2009年7月15日22:39:51
今回紹介する病気は『唾液腺粘液瘤』というものです。
写真は舌下の粘液瘤(ラヌラ)で通称『ガマ腫』とも呼ばれます。
この症例は同側の頸部にも粘液瘤ができていました。
唾液を分泌する唾液腺やその導管が障害を受け、唾液が漏出・蓄積し、肉芽組織に囲まれた状態です。
唾液腺は耳下腺、下顎腺、舌下腺、頬骨腺がありますが、一般的に問題になるのは舌下腺です。
治療方法は ・単に数回吸引するとそのうち貯留しなくなる場合、・写真のようなラヌラの場合はその部分を切開する造窓術、・下顎腺と舌下腺の切除 などがあります。
今回はまだ若いフレンチブルドックでしたので、飼主様と相談して一番再発率が少ない方法である下顎腺と舌下腺の切除をおこないました。
ゆっくりゆっくり下顎腺を丁寧に分離していきます。
時間がたって少し干からびてしまっている写真で分かりにくいのですが、摘出した唾液腺と舌下腺です。
この病気は処置をしたり手術をしてもその後再び溜まってしまう症例も多いです。
幸い僕はまだ経験がありませんが、当院の患者さんの中にも昔手術をしたけどこぶとり爺さんのようになっている子が数頭います。
ということで僕もどちらかというとあまりしたくない手術の1つですが、幸い今のところこの症例は経過も順調です。
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2009年7月1日21:57:53
猫にとって非常に厄介な病気の一つに口内炎があります。
細菌やウィルス感染による炎症とも考えられていますが、明確な原因は分かっていません。
ひどくなると口が痛くて採食が困難となります。
治療法としては、多くの場合はステロイドを投与することで炎症・痛みを軽減させますが、徐々にお薬も効かなくなります。
他の治療法としてはレーザー治療や様々なお薬が試されていますが、ステロイドに変わる治療法はなかなか見つかっていません。
その為、当院ではステロイドの治療を行う前に全ての奥歯を抜歯することを勧めています。
抜歯のメリットとしてその部位の炎症を軽減させることで40~70%の改善率が期待できるとのデータもあります。
しかしこの処置の前に長期間ステロイドの治療を行っていると効果が悪いとの報告もあります。
当院に口内炎を主訴に受診される患者さんの多くはすでに長期間ステロイドの治療を受けているケースが多い為、それ程多く行う処置ではありませんが、今日は口内炎の状態はひどいながらも何とか採食できている猫の全臼歯抜歯を行いました。
口の中は真っ赤でとてもかわいそうな状態です。
この処置は結構大変で、患者さんには長時間の麻酔を必要とします。
最終的にはステロイドの治療が必要になると思いますが、なんとか少しでも長くお薬を使わずにごはんを食べてくれればと思います。
ステロイドの治療も長期作用型の注射での治療はなるべく避け、投薬可能な猫には、痛みをコントロールする為に最小限必要な量のお薬で維持することをお勧めしています。
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2009年6月23日20:41:00
今日は当院にしては少しハードな一日。
まずは今朝3時に緊急用の携帯電話で起こされました。
昨日飼主様が帰宅すると部屋はものすごく暑く、犬もぐったりしていたそうです。
様子を見ている間にどんどん呼吸状態も悪化し、血便も出てきたのであわてて連絡してくれました。
昨日の高松の最高気温は34度。今年最初の熱中症患者です。
来院時の体温は42℃近く。 42℃を超えると体内の細胞障害が起こります。
意識もしっかりあったのでとりあえず冷水+送風で体温を冷まし始めたのですが、これがなかなか下がってくれません。
最終的には麻酔をかけて体温を下げ、ようやく落ち着いたときには外も明るくなっていました。
高体温による影響は脳、心臓をはじめ腎・肝臓・胃腸・筋肉へと広範囲に及びます。
また50%近くがDICという血液凝固不全の状態に陥るとも言われています。
お昼は唾液腺(下顎腺と舌下腺)切除の手術。
ガマ腫とも呼ばれる病気の為の手術ですが、患者さんがまだ若齢で短頭種のため、いくつかある治療法の中で積極的に完治を目指す手術法を選択しました。
それ程頻繁に行う手術ではない上、非常にデリケートな手技を要する手術の為、睡眠不足の体にはかなりきつい手術でした。
そのまま休憩なしでの午後一番の患者さんは40kg近いシェパードの耳血腫。
飼主様とスタッフ皆で押さえて耳に溜まった血液を吸引後、上手く治ることを祈りつつお薬を注入。
そして夕方にはまた熱中症の患者さん。
散歩中雌犬に興奮して追いかけた後で突然呼吸が苦しくなったそうです。
点滴の為の血管を確保する為に体を少し保定するだけで舌の色が紫色になり、その後失禁。
ちょっと危険な状態でしたが、診察終了時には少し落ち着きました。
今夜は室温をかなり下げた入院室で体温に注意しながらお預かりです。
今日は充実した一日でした。
暑い!
人間も水分補給をしっかりして、体調管理に気をつけましょう。