[ テーマ: 病気 ]
2012年12月16日08:20:15
今週は火曜はネコの膀胱切開。
水曜はイヌの尿道結石に対する尿道瘻の手術。
木曜は休診で、
金曜は雌犬の膀胱結石を非外科的に排出させる処置と結石の治療と珍しく3者3様の治療が続きました。
尿道瘻はなかなかイメージが難しいと思います。
今回も術前に飼い主様にお話ししてもピンと来ていない様子なので、写真を見せながら説明させていただきました。
陰茎骨の根っこで石が詰まってしまっていたので、
写真のように尿道の太い部分を切開し、
おしっこの出口を新しく作ってあげます。
写真を見ると飼い主様は最初ビックリされますが、生活に支障はほとんどありません。
ただ手術当日の出血と、しばらく排尿に伴って結構出血があるのが難点です。
結石の非外科的な排出というのは、膀胱内に生食水を入れ、圧迫排尿によって、
結石を排出させる方法です。
結石が小さく、比較的小型の犬種の雌犬で上手くいくことがあります。
チョット分かりにくいですが、
小さな結石が一つだけ確認できます。
5mm程の結石が無事排出されました。
開腹・膀胱切開に比べると負担が格段に少なく済みます。
12月も後半。
年末におしっこが出なくなったりすると対応も難しく、非常に危険です。
おしっこの色や量、回数・食事管理など十分に気を付けて上げて下さい。
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2012年12月11日20:42:00
ようやく強風は落ち着きましたが、相変わらず寒い日が続きます。
朝6時だとまだ外は真っ暗で、朝のジョギングも億劫になる日々。
こう寒くなるとやっぱりおしっこの病気が急増します。
今日はネコの膀胱結石。
膀胱に小さな結石と尿道にも細かな結石が見えます。
無事取り残すことなくすべての結石を摘出出来て一安心。
明日はイヌの尿道結石。
分かりずらいかもしれませんが、陰茎骨(ペニスの骨)の根っこに大きな結石があります。
膀胱まで石を戻せなければ尿道を切開して開口部を作る予定です。
この季節動物たちのおしっこの様子にはくれぐれも気を付けて上げて下さい。
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2012年12月3日21:15:00
嘔吐を主訴に来院したヨーキーです。
飼い主様によると多分お気に入りのお人形の磁石とのこと。
とりあえずお薬で吐かせてみますが、2回ほど吐かせても磁石は出てきません・・・困った。
先端がネット状に広がるバスケット鉗子を使って内視鏡による摘出ができれば理想なんですが、当院には無いので紹介をさせていただくか、当院で胃切開をするかを飼い主様に相談し、胃切開をすることに決定。
開腹し、胃を外から確認したところなんか変・・・磁石は触れるのですが、1個しかない。
お腹を確認していると、磁石が2個くっ付く感触が分かります。でも胃の中には1個・・・?
よくよく確認すると、
胃の中にあった磁石と結腸内に移動した磁石が胃壁と腸壁を挟んでくっ付いていて、その部分が今にも穿孔しそうになっていました。
もう少し遅れると腹膜炎になり危険な状態になっているところだっただけに、早急に開腹手術をして良かったですが、さすがにこのケースは初めての経験でした。
磁石ならではの怖さでした。
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2012年11月26日15:32:30
昨晩は県内の院長先生宅で食事会。
フルマラソンで体が弱っているので運転手役となり、終始ノンアルコールビールで頑張りました。
で、いつもより遅く起きた朝に急患の電話。
できるだけ早く来院してもらうと、右目が飛び出てしまい、眼の上の皮膚は深く裂けて頭蓋骨が露出しています。
昨晩からお庭に出していて、朝見ると怪我をしていたそうです。
何かに咬まれたのだと思いますが・・・
幸い、命に係わるほどの大怪我では無く、眼球を元の位置に戻し、瞼を縫合しましたが、最悪のケースは眼球摘出が必要になります。
朝からちょっとバタバタな一日でした。
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2012年11月21日08:08:26
先週少し前から元気食欲が無くなってきたということで来院したチワワ。
検査で左の腎臓付近に直径3cm程のしこりが見えます。
卵巣もしくは脾臓の異常を疑い手術をすると、脾臓にしこりが見つかりました。
表面の一部が自壊し、周囲の組織と癒着しており、脾臓を摘出しました。
病理組織検査は『結節性過形成』で、腫瘍でもなく一安心。
手術後から体調も良く、血液の異常も改善しました。
脾臓ってそもそも何をしているか分かりにくい臓器だと思いませんか?
古くなった赤血球を壊したり、体を細菌などから守る抗体を作ったりしていますが、摘出してもそれほど大きな影響はありません。
ただし免疫力の低下は起こる可能性があり、感染症などには注意しなければなりません。
この地域ではダニからうつるバベシアなどに感染した場合、治療に反応しにくいなどのケースも見られます。
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2012年11月11日15:58:06
数日前ぐったりとした生後3カ月の小さなチワワが来院。
お庭の石を食べたので、塩を飲ませて吐かせようとしたところ、体調が悪くなったとのことでした。
呼吸は荒く、意識も混濁、体温も低下し非常に危険な状態。
血液検査をするとナトリウムの値が180を超えていてます。(正常は140-150)
血液中のナトリウム濃度が急速に上昇すると、浸透圧の関係により細胞内の水分が引っ張られます。
これが脳細胞で起こると、脳細胞が委縮し、中枢神経に障害が起こります。
また急速に血液中のナトリウムの値を下げても問題が起こります。
このチワワでは循環血液量の急激な増加により肺水腫も併発しており、検査をするために少し動かすだけでチアノーゼになる状態でした。
ナトリウムを下げるためには輸液が必要ですが、肺水腫の改善を優先しつつ、他にも腎機能、血糖値、カリウムの値などにも注意が必要で、この数日は神経を使い疲れました。
今朝の検査で、体の血液状態はほぼ正常化し、呼吸状態も安定、自分からご飯も食べれるようになったのでとりあえず一安心。
結局お腹のⅩ線検査では石は見つからず、飼い主様の誤解でした。
当院でも異物を食べた場合のご家庭で可能な応急処置として食塩を飲ませることを説明することがありますが、飼い主様の判断で大量に飲ませたり、吐かないからと何度も食塩を飲ませたりすることは非常に危険ですのでご注意ください。
5kg前後の小型犬でティースプーン1/2、10kgの中型犬で1杯を目安に与えてもらいます。(ちなみに食塩の致死量は4g/kgと言われています)
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2012年10月19日08:04:00
先日、日本脳炎の予防接種後に小学5年生の児童が亡くなったそうです。
病気の予防のために接種したはずが、このような結果になってしまい、親御さんは本当にお気の毒で、小さい子を持つ親としても、日頃動物たちにワクチン接種をさせていただく立場としても、まったく他人事とは思えません。
日本脳炎はブタから蚊によって媒介されるウイルス感染症です。
発症率そのものは決して高くありませんが、効果的な治療法も無く、致死率も非常に高い病気です。
世界中では年間数万人もの患者さんが発症していますが、日本では予防接種により流行は阻止されており、この十数年では数例の発症に抑えれているそうです。
今回と同様、日本脳炎の予防接種に関しては以前から接種後の副作用が問題視されていて、平成17年~21年までは厚生労働省も『積極定勧奨の差し控え』を行うなど、紆余曲折がありました。
我が家でもちょうどこの頃は『Hibワクチンをどうするか?』など子供たちの予防接種が複雑で、リスク・接種回数・費用のことで主に奥さんが悩んでいたことを思い出します。
ついこの間は『ポリオの不活化ワクチン』の話題もあったと思います。
これからはインフルエンザのワクチン接種が始まります。
100%安全で100%効果のあるワクチンは難しく、個人がそれぞれ責任を持って判断するしかないのですが、もし何かあった時を考えると事故を100%防ぐ手だても無く、接種させていただく側としても難しい問題です。
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2012年10月1日08:11:00
台風も通過し、今日から10月。 一気に秋が近づいて来る感じ。
9月後半になって、急に脚や顔を腫らした動物たちの来院が増えています。
原因の一つに虫刺されの可能性が考えられます。
バベシア症もすでに発症しています。(これからの季節急増する病気です。)
これから涼しくなって動物たちとのお出かけの機会も増えてくると思いますが、最低限ノミ・ダニ予防はしっかりとしてお出掛け下さい。
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2012年8月2日07:38:00
昨日は朝からバタバタとした一日。
朝一番で当院最重量級の50kgを超えるバーニーズが熱中症に伴う肝・腎障害で入院。
運んだり、処置をしたりも大変で皆ヘトヘト。
続いて、胆嚢破裂に伴う腹膜炎のA.コッカーの手術。
破れた胆嚢と中に詰まっていたゼリー状の胆汁です。
『胆嚢粘液嚢腫』という状態だった胆嚢が破裂していました。
幸い手術はうまくいきましたが、術後死亡率も比較的高い手術だけに、今朝まであまりゆっくり眠れず寝不足気味ですが、おかげでずっと我慢していたオリンピックを十分堪能できました。
ただ、昨日の午前中の診察は前半は僕が熱中症の患者さんの処置に時間がかかり、後半は僕一人の診察となり手術のことなどで余裕が無く、丁寧な診察ができませんでした。
本当に申し訳ありませんでした。
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2012年3月1日08:41:10
うるう年だった昨日の夜はねずみの人形の付いた猫じゃらしのひもを食べた猫の腸切開がありました。
麻酔をかけてちょっと引っ張ってみましたが、やっぱり取れません。
次に内視鏡で確認すると十二指腸のかなり奥まで達していたので、腸切開をすることにしました。
ひもの先は結腸にまで達していたので、ひもを摘出するためには小腸を数か所切開する必要がありました。
この猫ちゃんは日頃当院が検査依頼などでよくお世話になる動物病院から逆に紹介された患者さんでした。
早く摘出してあげれて一安心です。
ひも状異物は猫の異物摂取としては最悪のもので、この猫ちゃんも対処が遅れると腸の広範囲が傷んでしまって危険な状態になっていたと思います。
ショップさんで売っている猫じゃらしなどのおもちゃは粗悪な物が多いように感じます。
1年間で何頭の猫がこういったおもちゃが原因で手術を受けたり、亡くなったりしているんだろう?といつも手術をしながら思います。
犬の骨ガムやアキレスなども同じです。
人で問題になった『こんにゃくゼリー』どころの騒ぎじゃないと思うのですが、動物だから問題にならないんでしょうか・・・残念なことです。