[ テーマ: 病気 ]
2017年7月5日19:04:00
『鼠径ヘルニア』という言葉は、
子犬を飼い始めた時に股の部分の膨らみとして
気が付くことがほとんどで、
長期間にわたって経過観察をすることが多いと思います。
今回は今年の春の予防の時に
『かかりつけの動物病院で様子を見ていたら、大きくなってきた!』
と相談を受けた10歳のM.ダックス♀でした。
鶏卵大よりも大きく膨らんでいて、
正直、元気食欲があるのならそのままでもと思いましたが、
検査をすると腸がかなり出てしまっていました。
手術のリスクなどを説明して、
この度手術をさせていただきました。
膨らみの中には小腸の大部分と子宮などが出ていて、
幸いダメージを与えずに分離でき、
無事にお腹側から引き戻すことができました。
ただヘルニア輪と呼ぶ『穴』を
しっかり塞ぐことが大切なのですが、
周りの組織が脆弱なためなかなか大変で、
今後の再発が最も心配ですが、
とりあえず、卵巣と子宮も摘出し、
無事に手術を終え、お返しすることができました。
今日はこの手術をしている最中に、
のら猫ちゃん♀の手術が3件も飛び込みで入ってしまい、
手術で疲れた一日でした・・・。
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2017年6月14日19:26:39
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2017年6月6日08:12:00
お陰様で、開院12年目を迎えることができました。
『動物たちの健康と飼い主様の笑顔』の為に、
頑張っていきますので、今後ともよろしくお願いします。
春の予防シーズンも終わり、
病院も少し落ち着きつつありますが、
ここの所、お口に関する手術や処置が集中してありました。
他院で高齢を理由に歯科処置を受けられなかった
プードルはすでに歯周病から顎の骨が折れて、
骨も吸収されており、顎の先端部分の骨を切除。
高齢のラブラドールは歯茎に腫瘍ができていて、
顎の骨と一緒に切除。
重度歯周病のチワワの全抜歯。
口腔内悪性メラノーマが再発したコッカースパニエルは
すでに転移も確認できていますが、
QOL(生活の質)の改善を目的とした切除
と盛りだくさんの内容・・・
どれも結構大変でした。
腫瘍に関しては予防することは難しいのですが、
気が付いた時には結構大きくなってしまっている場合が多いので、
高齢犬の飼い主様はお口の中のチェックもしてあげてください。
また小型犬は歯周病がひどくなりがちです。
歯周病から下顎骨骨折などは想像もつかないかもしれませんが、
もともとの骨も薄いため、起こり得ることです。
日頃のケアに加え、ひどくなる前に定期的な歯石除去をお勧めします。
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2017年5月31日08:46:00
二日前から食欲がないとのことで、
一昨日の午後に来院した雄猫ちゃん。
半年前には体重約8kgの巨体でしたが、
1kgも体重が減っていました。
診察台でも全く動けず、糖尿病?・・・と思いつつ、
大きなおなかを触診すると尿がかなり溜まっています。
『ここ数日おしっこ出てましたか?』と
飼い主様にお聞きしましたが、
週に1回掃除するトイレなので、
うんちは確認できてもおしっこは分からないとのこと。
血液検査の結果は、
一般的な腎臓の数値が高すぎて測定不可は良くあることですが、
カリウムの値まで10以上と測定オーバーはかなり危険・・・。
急いで尿道から膀胱内にカテーテルを通して、
静脈内輸液を開始。
今朝には血液検査も正常に改善し、
食欲も出て来てくれて取りあえず一安心です。
猫を飼われている飼い主様にぜひともお願いがあります。
トイレ掃除が面倒なら猫を飼ってはいけないと思います。
フード付きのものや週に一回のお掃除でOKなど
飼い主の都合に合わせたトイレの使用はお勧めしません。
特に雄猫の場合、毎日のトイレのチェックは非常に大切です。
多頭飼育の場合は、頭数+1個を離れた場所に設置をすることを
お勧めします。
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2015年12月4日18:42:00
先日わざわざ遠方より来院してくれたウサギさん。
驚くほどお腹が膨れた状態。
でも、体はガリガリの状態。
飼い主様はいろいろと調べてくれていて、
『子宮水腫?』を疑ってくれていました。
お腹の超音波検査をすると、
飼い主様の予想通り子宮に液体が貯留していて、
食欲も低下していたことから、リスクを説明し、
すぐに手術をすることになりました。
手術前。
お腹がパンパンに大きくなりすぎて、
呼吸への影響が心配なほどでした。
今まで経験したことのないほど大きな子宮が
お腹の中から出てきました。
子宮は数か所破れそうになっているところもありましたが、
心配していた癒着などもなく、無事手術は終了。
術後はお腹が驚くほどぺったんこになりました。
摘出した子宮の重さを計ってさらにびっくり!
なんと1.5kg!!!
術前の体重が2.8kgだったので、
実際の体重よりも重い子宮になってしまっていました。
今日お電話で確認すると、元気になって
食欲も回復傾向にあるとのことで本当に良かったです。
ウサギの診察はなかなか病気の原因がわからないこともありますし、
子宮の異常も超音波検査で判別できないこともあります。
今回は分かりやすい病気で、幸い手術もしやすいものだったので、
本当にラッキーでしたが、もう少し早くに病院に連れてきてくれると
より良かったですね
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2015年11月11日18:24:00
『湿布を食べちゃった!』ということで、
午後に来院したワンちゃん。
10分前に食べたばかりということで、
すぐに吐かせる処置をすると、
1回で無事吐き出してくれました。
飼い主様の目の前で食べたこと。
お近くの方ですぐに来院してもらえたこと。
処置にすぐ反応して、吐き出してくれたこと。
など、今回はかなり好条件がそろったケースです。
過去の症例では、
おそらく鎮痛成分の副作用と思われる
重度の溶血性貧血を起こしたケースや、
消化管出血を起こしたケースもあります。
特に使用済みの湿布などを
ゴミ箱などにポンっと捨てないようにお気を付けください!
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2015年7月5日08:27:00
『犬のお尻から何か白い紐のようなものが出た』
とのことで、持参していただいた便の中に・・・
『マンソン裂頭条虫』という寄生虫です。
一般的な寄生虫の中では非常に大きく長い寄生虫なので、
動物のお尻から出てくると飼い主様はかなり驚かれると思います。
猫に多くみられる寄生虫で、犬では比較的珍しいと思います。
中間宿主である『カエル』を捕食することで感染しますので、
きっとこのワンちゃんもお散歩中に
カエルを食べてしまったんだと思います。
ここで問題になるのが駆虫。
このマンソン裂頭条虫を駆虫するためには、
ノミから感染する『瓜実条虫』などと比較して
6倍量の駆虫薬が必要となります。
注射と錠剤がありますが、
どちらにしろ投与量が多いので大変です。
ヒトへも感染しますが、この幼虫を持つミジンコなどを
誤飲することによって感染するので、
犬や猫の糞便から感染するものではありません。
この季節カエルがたくさんいますので、ご注意ください!
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2015年1月30日18:56:19
『大腸炎症性ポリープ』は血便やしぶりが主な症状で、
なぜかM.ダックスに多い病気です。
今回も8歳の雄犬のダックスで、
2か月前に血便で来院し、通常の下痢の治療には反応が無く、
直腸検査で異常を発見し、病理検査で診断はついていました。
この病気は、ステロイド剤や免疫抑制剤などの
内科治療に反応する可能性があるのですが、
残念ながら良い反応が得られなかったので、
今回は病変部分を『直腸プルスルー』という方法で、
切除することにしました。
直腸を肛門から丁寧に分離すると、
驚くほど引き抜くことができます
切開すると、予想よりも深部にまで病変が及んでいて、
結果的に10㎝以上の直腸を切除しました。
今まで排便の度に本当に痛くてしんどかったと思います。
今後も再発が心配ですし、お薬は継続していく必要もありますが、
なんとか楽になってくれることを願いたいですね。
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2015年1月11日08:42:00
脾臓はお腹の左上の胃と腎臓の近くにあります。
働きは主に免疫系の細胞を作ったり、
血液をきれいにしたりする働きがあるのですが、
不思議なもので、
無くても生きていくうえで大きな支障はありません。
犬では比較的しこりができやすい臓器で、
破れることで、腹腔内出血の原因となります。
血液検査で異常を評価する事ができなくて、
超音波検査が必要となります。
一昨日午前最後の患者さんは、
元気に散歩している途中に、
突然元気が無くなったという事で来院。
確かにいつもの元気がありませんが、
もともと大人しい子なのであまり変化が分かりません。
体温は平熱。
唇の粘膜の血色が良くないのですぐに血液検査をしました。
この段階ではバベシア?と疑いつつ、おしっこの様子や、
ここ数日食べたものなど色々と問診を行いますが、
貧血も無く、これといった異常が見つかりません。
とりあえずのお薬は使用せず、
夕方まで様子を見てもらうことにして
お会計をしながら、
午前最後だったのでたまたま受付でお話をしました。
病院から帰るワンちゃんの様子を見て、
これはやっぱりおかしい・・と思って、
念のためお腹の検査をさせてもらうと、
脾臓にしこりがあり、お腹の中に液体がたまっていました。
すぐに腹腔内出血と判断して、
開腹手術をし、脾臓摘出をしました。
以前に一度同じような症状になったことがあるとのことで、
恐らくその時にも軽度な出血をしていて、
大網が癒着して塞いでくれていました。
もう少しで、間違った判断をして、最悪手遅れになるところでした。
去年だけで同じようなケースが2件ありました。
1件は後ろ脚がフラフラするという事で他院を受診して、
椎間板ヘルニアと診断されたケース。
もう1件は、心臓病と診断されたケース。
どちらも脾臓のしこりが原因でした。
こういうケースがあるため
必要な検査をしなければいけないのですが、
検査をたくさんすると費用が高くなるし、
ひょっとしたらという怖さもあるため
いつも判断に悩みながら診察しています。
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2014年12月9日19:27:32
先日口にできものがあると
来院された17歳のM.ダックス。
お母さんに抱っこされていて、
診察台に乗せてもらうと、イケないことですが、
『うわっ・・・』と思わず口に出てしまうほどの状態。
事情をお聴きすると、
2年前他の動物病院さんで悪性腫瘍かもと言われ、
高齢の為治療が難しいとのことで、
2年間お薬だけをもらい続けていたとのことでした。
『安楽死を希望されてこられたのですか?』
とこちらからお聞きすると、
ちょっと安心された様子で、
『もう、してやれることが無ければ・・・』
という返事でした。
とりあえず麻酔をかけて
口の状態を観察させてもらうと、
下顎を切除するとなんとかなりそうでした。
かなり顎が短くなってしまいましたが、
通常このレベルなら問題なく適応できますが、
高齢で認知症の症状もあるため、
どこまで適応できるかが今後の問題。
手術2日目に退院し、
今日は手術前より元気で
食べたそうにするけどなかなか難しいとのこと。
とりあえず元気があるだけでも一安心です。
今後は状況によっては
喉にチューブを入れて、
そこからの給餌方法も検討しますが、
なんとか口から食べてくれることを願うのみです。